不思議を売る店
2010-02-13


今回の旅の大きな楽しみが、神戸のヴンダーショップ(と勝手に呼ばせていただきますが)ランスハップブックを訪れることでした。

Landschapboek : antique books and art goods(ブログ)
店舗詳細はこちらの記事に。

場所は下山手通の南、鯉川筋からちょっと東に入ったところ。
でも、最初は場所がぜんぜん分かりませんでした。このあたりだろうと見当をつけてグルグル回っても見つからず、「まさかこんな所にはあるまい」と最初素通りした、人がやっとすれ違えるぐらいの細い路地を入ったら、ありました、ありました。何だか有り得べからざるものが在るような、不思議な感じでした。

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黄昏どきの店内には灯が入っています。

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ショーウィンドウのディスプレイもいいですね。
博物館のようなイメージで作られたお店…ということで、見るからにヴンダー度は高いです。

   ★ ☆

土地柄、ここで連想したのは、足穂の神戸モノの代表作・『星を売る店』でした。

が、この時横切ろうとした辻の向うがわに、
ふしぎな青色にかがやいている窓を見た。
青い光に縁がある晩だ。こんどは何者であろう、
と近づいてみると、何と、その小さなガラス窓
の内部はきらきらした金米糖でいっぱいでないか!
ふつうの宝石の大きさのものから、ボンボンの
つぶくらいまで、色はとりどり、赤、紫、緑、黄、
それらの中間色のあらゆる種類がある。

これが三段になったガラス棚の上にのせられて、
互いに競争するように光っている。うしろに
色刷のポスターが下がっていた。アラビア風俗の
白い頭巾と衣をかけた人物が五、六人集まって、
かれらの頭上にある星屑を、先に袋がついた
長い竿でかき集めているところである。

〔…〕

「それで―」と待ちかねて私は口を挟んだ。
「いったい何物なんです?」
「星でございます」
「星だって?」

   ★ ☆

私もドアをくぐり、この不思議な店で、何か不思議な物を買おうと思いました。
店内には、理科掛図、博物画、額装された植物標本、古いプレパラート、様々な宗教的モチーフの品、etcがずらっと並んでいて、大いに食指が動きました。
…が、どうも手持ちの品と微妙にかぶるんですね。
石版の古い軟骨魚類の掛図なんかは、なかなか良かったのですが、一寸値段が折り合わず。

結局買ったのは、小さな貝の標本1つだけでした。

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オーストラリア産のMurex dendatus(ハダカガンゼキ)、高さ約4cm。
フランスで買い付けたものだそうです。
(実はこの貝のそばに置かれていたデロールの値札が欲しかったのですが、そちらはディスプレイ用とのことで入手できませんでした。)

  ★

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