『星の世界をゆく』…古書に見るドイツ気質
2008-12-02


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さて、亀甲文字の障壁を(気分的に)乗り越えたので、ドイツの天文古書を載せます。

どうでしょう、この堂々たる造本は。
表紙全体を覆う装飾文様は、平面的なプリントではありません。表紙をプレスして、ゴツゴツとした凹凸模様を作り出しています。
鼠地に黒の唐草や金文字をあしらった配色も、実に渋い感じ。
月も、彗星も、土星も、鈍く金色に光っています。

何とも大時代なこの本が、実は1880年に出たものと知ると、軽い驚きを覚えます。

同時代の英米の本にも美しい装丁の本はありますが、大抵は流麗なヴィクトリアン・アールヌーヴォー調で、こうした大仰なバロック的美意識とはかなり異質な感じを受けます。

この何か盛装した村夫子のような、朴訥な華麗さがドイツ古書の魅力かもしれません。


■F.ジグムント『星の世界をゆく−宇宙空間の驚異』
 Ferdinand Siegmund
 Durch die Sternenwelt oder Die Wunder des Himmelsraumes.
 Hartleben’s Verlag, 1880
[天文古書]
[月・月食]

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