バロック時代の理科室風書斎
2007-10-15


禺画像]
(ナイケル 『ナイケル陳列館誌』 1727より、出典は下記)

これまで理科室の起源をヴンダーカンマーに求めてきたわけですが、私が目指している 「理科室風書斎」 もまたヴンダーカンマーに根ざしているらしいことを発見。

上の写真は、以前取り上げた([URL])、小宮正安 『愉悦の蒐集』 からの転載です(190頁)。バロック時代のヴンダーカンマー構築者、カスパール・フリードリヒ・ナイケルの陳列室。

小宮氏によると、ナイケルは収集品には必ず説明書を付けるべしと提案し、実践した人だそうで、そのため混沌としたヴンダーカンマーから、近代博物館が生れるきっかけを作った人物とも目されているそうです。まあ、性分として整理整頓が好きな人だったのでしょう。

で、挿絵を見ると、ナイケルの背後には動物の骨格やら何やらの標本類が並び、正面には豊かな装丁を施した書籍がぎっしり書棚に詰まっています。その間で部屋の主は、標本をかたわらに参考書をひもときながら研究に余念がありません。

これはまさに理科室風書斎の姿そのものです。リアルな標本と、2次元の情報(本)に取り囲まれた、学問の佳趣に思う存分にひたれる空間です。18世紀前半には、こうしたライブラリーと博物コレクションが融合した、知の総合センターが誕生していたことが分かります。

もちろん、私の部屋がこんな様子のわけはありませんが、イメージとしては微かに相通ずるものがあります。
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