ブラック博士の本の話(
8月10日付)の最後で、イギリスのジョドレルバンクの電波望遠鏡のことがチラッと出ました。そこから話を続けます。
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ときに、ジョドレルバンクの知名度って、どれぐらいあるんでしょう?
もちろんその筋の人は知っているんでしょうが、たとえば私の家族に聞いても(まだ聞いてませんが)、「何それ?」となることは容易に予想できます。
ジョドレルバンクは、巨大な電波望遠鏡の立つ場所であり、望遠鏡自体の代名詞でもあります。2019年には世界遺産に登録され、日本はともかく、地元イギリスでは非常に有名な存在だと聞きます。
私が最初にジョドレルバンクに興味を覚えたのは、『ビクトリア時代のアマチュア天文家』(産業図書)の末尾に、ジョドレルバンクが登場したからです。それによると、ジョドレルバンクが完成した1957年は、後にBBCの長寿人気番組となったパトリック・ムーアの「The Sky at Night」の放送開始年であり、アラン・ローラン彗星が話題になった年です。こうした出来事を追い風に、イギリスのアマチュア天文活動は、戦前にもまさる勢いで復活し、発展を遂げたのです(日本製の廉価な天体望遠鏡がその発展に寄与したという記述も、私には他人事と思えませんでした)。
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ジョドレルバンクはとにかく巨大です。アンテナの直径は76メートル、片や日本を代表する野辺山の45mm波電波望遠鏡は直径45メートルですから、並ぶと大体下の写真ぐらい違うはずです(あくまでもイメージです。正確な比較画像ではありません)。
(ジョドレルバンクの場所)
ジョドレルバンクの歴史は、同観測基地のサイトに簡潔に述べられています。
そして上のページと同名の本が、かつて出版されたことがあります。
■Bernard Lovell
『The Story of Jodrell Bank』
Oxford University Press, 1968.
著者のバーナード・ラヴェルは、正式な名乗りをサー・アルフレッド・チャールズ・バーナード・ラヴェル(Sir Alfred Charles Bernard Lovell、1913−2012)
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