てんとう虫の夜空
2025-08-10



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イギリスで長い歴史を持つ児童書レーベル、「Ladybird Book(てんとう虫の本)」シリーズ中の一冊、『ザ・ナイト・スカイ』

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■Mary Bruck(文)、Robert Ayton(絵)
 『The Night Sky』
 Wills & Hepworth (Loughborough, Leicestershire), 1965

版元のウィルズ&ヘプワース社は、19世紀以来の老舗書店で、20世紀はじめから「てんとう虫の本」シリーズの出版を始め、その後、社名も「レディバード・ブックス」に変更(1971年)、現在はペンギンブックスの傘下にある…といった趣旨のことが、Wikipediaの同社の項には書かれています。

著者のメアリー・ブラック(1925−2008)はアイルランド出身の天文学者。最初はアイルランドのダンシンク天文台、その後、エディンバラ王立天文台に転じて、長く研究生活を送った人です。50代以降は天文学史の研究にも打ち込み、英国とアイルランドの女性天文学者の評伝等を発表しています。

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(1954年6月30日の皆既日食観測のため、スウェーデンに遠征した折のブラック博士。Journal of Astronomical History and Heritage, Vol. 12, No. 1, p. 81 - 83 (2009) 掲載の追悼記事より)

ブラック博士が児童書を任されたのは、彼女が1950〜60年代に、天文学の子供向けラジオ番組を担当した実績を買われれたのだと思いますが、本書『ザ・ナイト・スカイ』は、結果的に彼女の最初の単行本になりました。

一方、挿絵を描いたのはロンドン生まれのロバート・エイトン(1915〓1985)で、彼は本書ばかりでなく、「てんとう虫の本」シリーズで広く活躍した画家です。

   ★

ちょっと前置きが長くなりましたが、この本、しみじみいいんですよね。

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仮に私が「美しい天文古書100選」を編むとしたら、夜空を詩情豊かに描いた佳作として、このささやかな本もぜひ加えたいです。

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[天文古書]

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