私はクインテンが、我が母校と魔術的関係を取り結んだと考えているのだろうか?息子がボズウェル天文台のそばに立った時、私の感情ははげしく揺さぶられた。まさに私の巡礼行が成功したかのように。私は、息子を人生のリトマス紙ともいうべき空間上の一点、すなわり私の性格、私という存在、私自身を最終的に形作った場所に連れて来たのだ。
たしかに、私は彼がいつかドエインに入るのを望んでいる。私はぜひとも、もう一度息子の写真を撮りたいと思う。2023年頃、角帽とガウンを身に着け、ボズウェル天文台のそばに立つ息子の写真を。
小さなリベラル・アーツ・カレッジは(その美しいキャンパスや、大事な使命とも相まって)、多くの人々に、満足のいく素晴らしい人生を用意してきた。
古い天文台は、新しい覚醒と新しい知識、そして最も純粋な学習を、人類が絶えず追い求めてきたことを力強く象徴している。喜びのために学ぶことを重視するのは、社会にとっても重要だと思う。〔…〕リベラル・アーツ教育は、我々をより慈愛に満ちた存在としてくれるし、過去から学ぶのに必要な力を与えてくれると同時に、遠い将来を見通すのに必要な力も与えてくれる。
知識と品性があれば、大抵の状況は乗り越えられるものだ。私は、教育とはそれ自体が目標となりうるものだと確信している。〔…〕
ひょっとしたら、これを読んでいる方の中には、私のことをアナクロな人間と考える方もいるかもしれない。日常生活にどっぷりとつかり、地下鉄の車内で、あるいは会議に出席するために離陸したばかりの機内で、この記事をスマートフォンで読んでいる方にとっては、私の意見は奇妙で時代遅れの、そして時と所を隔てた黴臭いだけの退屈なつぶやきと思えるかもしれない。
だが、たとえそうだとしても、あの天文台は運用中の望遠鏡と共に、今もたしかに生き続けており、白鳥たちは今日もドエイン湖をゆったりと泳いでいる。」
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アメリカは広いので、古き良き教養主義を是とする価値観も一部には強固に残っているということでしょうか。
それにしても、古い天文台が無言で人類の知の営みを子どもに語りかけるというのは、とてもいいシーンですね。ロス氏はいい経験をされました。が、その思いがクインテン君に伝わるかどうかは…?
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