玉青様、おかげさまで、やはり私にとっては「難しい人」であった山本一清氏のことがちょっとわかったような気がします。僭越ですが、私の管見の範囲でのとりとめのないコメントをさせて下さい。
最近読み直した山本一清著『天体と宇宙』ですが、その内容は、おおざっぱに言って、星座→太陽系→恒星という順になっています。これには氏の強い「星座のロマン」への思いを感じます。なお、野尻抱影著の同題『天体と宇宙」では星座が最後になっています(天文学史が始め)。また、山本著では、かなり情緒的なところと科学的に厳密なところが同居していて、「オイオイ、科学者がそんな主観的なことを書いていいのかな」というところと「オイオイ、素人の読者にそんな難しいことを書いても仕方なかろう」というようなところが一冊の本にあり、これは山本氏の二重的な性格によるものと思ったのですが、今、玉青さんの解説を拝見するに、日本の天文普及はそもそもこの二重性に原点を持っているのでは、と思い直した次第です。それでも、天文学の未解決の問題に自説を述べているくだりがあり、そこは一流の学者であると感じさせてくれます。
前に、同じ偕成社から同題の兄弟のような『天文と宇宙』が出ているのは何故か、という議論を少しいただきましたが、また、さらなる分析をいただければありがたいと存じます。内容の具体的な比較をすれば何らかの研究になるかもしれません。私の今後の課題と存じます。
もう一件は、本田実氏を抜擢したことです。当時、地方の無名の一アマチュアに過ぎなかったであろう本田氏を、1936年に観測員として採用したことは、非常に面倒見がよかったのか、それとも、人を見るものすごい先見性があったのか、ということが気になります。いずれにしても尋常ではないことのように思います。
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